日本政治思想史 ――戦後編

2023年刊。 広岡守穂 著/ 定価(本体2,000円+消費税)/ 四六判上製/256頁/ISBN978-4-8420-5026-3

◆同時代史としての思想史を概観する完結編◆
人間はどういうきっかけで政治に関心を持つようになるか。幕末から戦後までの日本政治思想史の通史を広い視野で読み解いた、筆者の研究の集大成と言うべき前著、『日本政治思想史』『続日本政治思想史』に続く完結編!戦後の民主主義は、大衆の生活で培われ変遷を遂げたという独自の視点のもと、著者自身の経験も交え、同時代史としての戦後の日本政治思想史を広く分かりやすい語り口で綴った一冊。

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書籍


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主要目次

序 章 同時代史のおもしろさと難しさ
  同時代史の難しさ/世代が違うということ/西側の一員にふさわしい政治と思想/反戦平和、大人社会に対する反抗、うっすらした資本主義批判/戦後政治思想史の時期区分/市民社会と国際平和
第一章 戦後民主主義――家族はデモクラシーの出発点である
  政治と道徳/ふたり共同体から出発する―和辻哲郎の倫理学/愛によって社会を基礎づける―有島武郎『惜しみなく愛は奪ふ』自由な社会的結合の出発点―賀川豊彦『地殻を破つて』/生殖と経済―高群逸枝の『恋愛創世』/大正デモクラシーと社会的構築
第二章 大きく変わった政治の論じ方
  戦後は政治思想にとって稀有な時代だった/政治思想の戦後は1980年代に終わった/政治における主体性の探求/荒正人の『第二の青春』/政治と文学/政治技術―唐木順三の反近代思想/林達夫/政治的無関心
第三章 組織と人間
  人間が組織をコントロールできない時代か?/アメリカと日本――勝者と敗者の認識の違い/革命組織の危険と頽廃/花田清輝が語った政治と人間/谷川雁・革命的ロマン主義者
第四章 政治の根源に向かう問い
  政治とは何か/福田恆存―人は日々欲望を殺して生きている/吉本隆明の共同幻想論/『共同幻想論』に欠けているもの
第五章 60年安保――15年遅れてきた戦後
  民主か独裁か―竹内好/不服従の遺産/歌を生まない政治闘争/政治と青春の挫折/転向と挫折/市民主義とは何か/竹内好の国民文学論
第六章 疎外と自己実現
  政治思想の三つのテーマ/産業社会の構造をどうとらえるか/見田宗介/庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』/豊かさのパラドックス
第七章 新しいステージへ――業績保守主義の台頭
  思想の潮目が変化/SSM調査の衝撃/自由に対する視点の弱さ/イエ社会と間人主義
第八章 資本主義像の変容
  資本主義変容の構造/学生時代に読んだ本のこと/竹山道雄の保守主義
第九章 21世紀へ
  市民社会が力をつけた/保守派も進歩派も自由を軽んじていないか?/資本主義の文化的矛盾とアイデンティティ拡散症候群/政治理論の限界